2011/06/07

四国遍路、3日目。69番観音寺→65番三角寺

 2011年5月22日日曜日。
この夜もあまり眠れなかった。時折通る車の音、そしてにわか雨。慌てて屋根の下に移動した。
結局1時間おきに目が覚める感じで、5時にはあきらめてマットをたたみ、朝ご飯を食べることにした。
たしか、パンとかまぼこ。荷物削減のために調理用具を持ってきていない。ガスとヘッドさえあればカップラーメンとか紅茶とか温かいものが摂れるわけで、やっぱりそこは魅力。ただ、四国で自転車、なおかつ今回走る地域ならコンビニでも食堂でも豊富にあるから自炊の必要は無いと判断した。


明るくなって、実はテントは二つあったことに気づく。一人は自転車遍路、もう一人は歩き遍路。やはり、自転車同士ということで情報交換。こっちは二日前に回り始めたばかりで大したこと知らないけど。若干年上、20代半ばから後半ぐらいかな?と言う男性、順打ちで通し打ちをされてるということなので、すっかり日焼けして旅人オーラ出まくり。




6時40分。片付けを終えて出発。どんよりとした曇り空で、明らかに数時間後には雨が降り出す雰囲気。憂鬱だ。


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69番観音寺と68番神恵院が同じ敷地内にある。納経はふたつまとめて600円。
自転車を降りて歩き出すと、太ももの筋肉痛に気づかされる。そして石段を登り始めると足が上がらない。それでもやっぱり、朝の寺は素晴らしい。


 7時15分。70番本山寺に向けて出発。河川敷を快走。遠く正面に見える塔が本山寺のようだ。しばらく走ってふと気付くと塔が見えない。周りを見渡すと左手後方にあった。道案内の看板は設置されていたけど、歩き遍路用で小さなものだし腰ぐらいの高さ。自転車で飛ばしていると見落としてしまってもしょうがない。


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7時40分、70番本山寺到着。
納経を終えたところで、今朝の公園の自転車遍路さんと再会。雑談をしていると、ポツポツと雨が降り出す。予想より降りだしが早くてちょっとテンションが落ちる。
それでも行くしかない。荷物にカバーを掛け、カッパを着て、別れの挨拶もして、67番大興寺へと出発。8時20分。

 雨の降り方はそんなに強くないし、時々止む。暑いよりはましな気もするけどやっぱり鬱陶しい。涅槃の道場讃岐もあと二寺。ルート上にうどん屋があれば讃岐うどんの食べ納めをしようと思っていたけど見つからなかった。田畑の広がる田舎道、無くても仕方ない。

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8時50分。67番大興寺到着。雨は止み、薄く日差しも見える。
雨が降ると心配なのが納経帳。防水バッグをビニール袋に包み、さらにカバーを掛ける。ここまですればさすがに浸水することはない。それでも明らかに紙は湿ってるので丁重に扱う。


 9時15分、出発。68番雲辺寺は標高約920mと、四国八十八カ所の中でも最高地点にある札所。迷うことなくロープウェイに乗る。片道1200円かかるけど、自転車も追加料金なしで載せられると言われるととてもお得に感じられる。
しかし、楽をしようとしてもそう上手くはいかない。迷子になったのだ。まず、ロープウェイ乗り場を指示する看板が一度も現われなかった。逆打ちだからなのか、車の多い国道を避け横道に入ったせいなのか。たぶん後者なんだろうけど、ここまでその選択で迷ったこと無かったからちょっと甘く見ていた。
そして携帯のナビ機能を過信したこと。グーグルマップで徒歩ルートを検索すれば、一方通行を無視して最短ルートを出してくれる。街中ではとても便利なこの手段、山岳部では仇となる。車両通行不能な道を指示されるのだ。地図データの古さも影響しているのだろう、二本線で描かれている道が、実際には未舗装路どころか廃道状態になっていた。歩きならなんとかなるにしても、荷物を含めれば20kgはある自転車を担いでは進んでいけない。
 せっかく登った急坂を下り、まともな道へと戻っていく。GPSログを見れば20分ほどのロス。大した時間ではないけど精神的にはかなりきついものがある。しかも雨。
 ロープウェイ乗り場には10時40分到着。「発車しますよ!」と係員さん。20分ごとだから慌てることないし、一服できる店もある。しかし、勢いで乗る。1200円払って自転車載せてすぐ発車。結構速い。ぐんぐん登っていく。景色は相当きれいなはずだけど。あたりは霧で真っ白、車内にも立ちこめてくる。空気もどんどん冷えていく。












標高差650mを7分で駆け上がる。とりあえず霧が凄い、そして寒い。 66番雲辺寺までは歩いて5分ぐらい。11時に到着。麓との雰囲気が驚くほど違う。麓には大きな駐車場と土産物屋があってこれぞ観光地って感じ。ところが山頂の寺に来てみると、「霊場」「聖地」という言葉がとにかくぴったり。霧に包まれているのがより一層、俗世と隔絶された雰囲気を作り出している。


11時40分、出発。ここからは標高差700mのダウンヒル。ただでさえ悪い舗装状態に加えて濡れた路面。慎重に下っていく。ログを見ると、途中で道を間違えていたようだ。結構遠回りしている。

12時10分、R192に合流。30分も下り坂が続くのは体験したことがない。ここから愛媛県境に向けてのだらだらした登りが辛かった。標高差にして150m、正しいルートなら80mなのでかなりもったいない。やはり地図は用意していかないと。

12時55分、県境の境目トンネル。歩道無し、久々に恐怖のトンネル。入り口で後続車をやり過ごし突入。交通量が少ないおかげで車に追い越されることなく脱出完了。
ここからは下りが続くけど、三角寺はまた山の上。それを考えると気が重い。


13時10分。別格14番、椿堂付近。歩き遍路をされている年配の女性と雑談。三角寺出発後、変質者に遭遇したところを近隣の方に助けてもらったとのこと。確かに人通りの少ない山岳区間。女性の一人歩きはお気をつけください。


13時40分。ローソン発見。昼食を取る。ようやく人里に下りてきたけど、他に店はないしまたすぐに山登り。コンビニ飯の選択しかない。ラッキーなのは雨が止んだこと。10分だけ休み出発。川沿いに集落を抜け、標高を稼いでいく。道幅は狭い一車線、場所によってはかなりの急坂。昨日までは自転車を降りていた斜度、それでも今日は降りない。漕がないことには前に進まないし、降りてしまえば自転車は20kgの鉄の塊。ギアを一番軽くして登ってく方が楽な気がする。押して上がれば時速3km、漕いで上がれば時速6km。苦しむ時間が短い方を選んだ。

14時20分。バスも通るメインルートに合流、そして残り1kmの看板。でも、この1kmは人生で一番長い1kmだった。バスが通る道といっても、1車線が1.5車線になった程度だし、坂はもちろんきつい。10%程度の登りが続く。前日までの疲れと睡眠不足もある、体力的にというより太ももの筋力が限界に近かった。休みながら進むけど、一度降りるとペダルをこぎ出すのが大変だし坂が急なところでは前輪が浮く。結局、最後200mぐらいはあきらめて押し上がりにした。



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14時45分、65番三角寺到着。1kmに25分かかったわけだ。自転車を止めたら今度は長い石段。まだまだ苦しい。手すりってこんなにありがたいんだ、と手すりの存在意義とその価値を実感する。遍路に来なければ気付くのはいつのことだっただろうか。

15時20分、出発。次の64番前神寺までは45kmある。通常でも3時間、なにしろこの疲労では4時間30分はかかりそう。それでも、まだまだ日没まで時間がある。近づけるとこまで近づくことにした。



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坂道を下り始めて待っていたのは、町並みと瀬戸内海の絶景。写真では伝わらないのが雨上がりの空気感。雨で空気の汚れが洗い流された、そういう透明感を感じるのだ。雲辺寺の境内と同様に、雨も悪く無いじゃないか、そう思える瞬間だった。


16時。フジ三島店で休憩。ウイダーインゼリープロテイン×3購入。効果は無いような気もするけど。
ここには100円ショップ見たりで30分ぐらい滞在。R11を5分ぐらい進んだところでラーメン屋に入店。夕食には早いけどとにかく腹が減った。ネギチャーシュー麺850円。まあまあうまい、しかし、讃岐うどんに比べると高いなあ。


17時。西に向かって走り出す。雨は完全に上がって晴れ間も見える。R11は交通量が多いので歩道を走る。その歩道は結構狭いし段差多いしちょっと走りずらい。平地が続くのでそれなりのペースで走れるけど、疲労はたまっていく。


18時45分。新居浜市に入る。市の境目が160mの峠だけど、三角寺に比べりゃ緩い登り。ちょっとの我慢で登り切って、あとは快走。下り坂も終わったころ、スーパーがあったので駐輪場にて休憩。一度腰を下ろすともう動きたくない。かなり疲れた。そして天気予報を確かめると、夜からはまた雨が降り出しそう。そうなるとテントはめんどくさいし、とにかく今日はゆっくり寝たい。ということで、宿に泊まろう!となる。携帯で調べて新居浜で最安のビジネスホテルに決定。

 19時30分。ホテル到着。国道は山沿い、ホテルは海沿いで予想よりも時間が掛かった。
近くのスーパーの半額品が夕食と朝食。イサキ刺身がうまかった。
ホテル付属の洗濯機と乾燥機が無料。もちろん洗濯する。乾燥が終わるのを待って、22時30分、就寝。


サイクルメーターは94km。



____________費用_______________


納経料   300円×6=1800円


食費    3000円

ロープウェイ 1200円


宿泊    3680円


合計 9680円


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